- 「ズートピア」は差別と偏見をテーマにした社会派アニメーション映画で、主人公ジュディが自らの偏見に気づき成長する物語である
- 「誰でも何にでもなれる」というメッセージと多様性を尊重する社会の重要性を子供から大人まで分かりやすく伝えている
- 続編「ズートピア2」は2025年冬に日本公開予定で、新キャラクター「ゲイリー」と「爬虫類の世界」が新たな舞台として登場する
ディズニーアニメーション映画「ズートピア」は、かわいい動物たちが登場する子供向け映画と思いきや、社会問題を深く描いた大人も楽しめる作品です。本記事では、「ズートピア」のあらすじと作品の魅力、そして続編「ズートピア2」の最新情報までを徹底解説します。
2016年に公開されて以来、全世界で10億ドル以上の興行収入を記録し、アカデミー賞長編アニメーション映画賞も受賞した「ズートピア」。この作品が多くの人々の心を掴んだ理由と、2025年公開予定の続編情報を知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。
ズートピアとは?作品概要

「ズートピア」は2016年3月に公開されたディズニーアニメーション・スタジオによる3DCGアニメーション映画です。バイロン・ハワード、リッチ・ムーア監督、ジャレド・ブッシュ共同監督によって制作されました。
作品の基本情報
「ズートピア」は公開年が2016年、製作はウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ、監督はバイロン・ハワードとリッチ・ムーア、共同監督はジャレド・ブッシュが務めました。上映時間は108分で、日本語吹き替え版には上戸彩、藤森慎吾(オリエンタルラジオ)、森川智之などの豪華声優陣が参加しています。受賞歴としては第89回アカデミー賞長編アニメーション映画賞、第74回ゴールデングローブ賞長編アニメーション映画賞など、数々の栄誉を獲得しています。
物語の舞台「ズートピア」とは
「ズートピア」という都市の名前は「Zoo(動物園)」と「Utopia(理想郷)」を組み合わせた造語です。この都市では、かつては天敵関係にあった肉食動物と草食動物が科学の進歩により平和に共存している世界が描かれています。
都市内には様々な環境に適応した地区が存在しています。サバンナ・セントラルは都市の中心部で多くの動物が生活・仕事をするエリアです。ツンドラタウンは極寒の地に適応した動物たちが暮らすエリア、サハラスクエアは砂漠気候を好む動物たちのエリア、レインフォレスト・ディストリクトは熱帯雨林のような湿度の高いエリア、そしてリトルロデンシアは小型のげっ歯類が暮らす超小型都市エリアとなっています。
この多様な環境設定により、様々な種類の動物がそれぞれの特性を活かして共存する社会が表現されています。ズートピアは一見理想的な都市に見えますが、その内部には様々な社会問題が潜んでいるのです。
ズートピアのあらすじ・ストーリー

ウサギ警官の誕生
物語は、田舎町バニーバローで育ったウサギのジュディ・ホップスが主人公です。子供の頃から警察官になることを夢見ていたジュディですが、ウサギが警官になった例はなく、両親を含め周囲からは反対されます。それでも諦めずに警察学校で猛勉強と訓練を重ね、首席で卒業。ついに「ズートピア警察」初のウサギ警官として任命されます。
大都会ズートピアに到着したジュディは、多種多様な動物たちが共存する世界に希望を抱きます。しかし警察署に配属された彼女は、体格を理由に署長のボゴから重要な捜査任務ではなく、交通違反の取締り係に回されてしまいます。
ニック・ワイルドとの出会い
任務初日、ジュディは詐欺師のキツネ、ニック・ワイルドと出会います。最初は騙されかけますが、彼の違法行為を録音することに成功。その証拠をネタに、行方不明事件の捜査に協力させることになります。
ニックは最初こそ非協力的でしたが、次第にジュディとの信頼関係を築いていきます。キツネである彼も、幼い頃に仲間に入れてもらえなかった過去から「キツネは信用できない」という偏見に苦しんできたことが明らかになります。
ナイトハウラー事件の捜査
ズートピアでは、14件の肉食動物失踪事件が発生しており、ジュディは48時間以内に事件を解決できなければ職を失う状況に追い込まれます。ニックの協力を得て捜査を進めるうちに、失踪した動物たちが突然野生の獣のように凶暴化していたことが判明します。
「ナイトハウラー」と呼ばれる青い花が、肉食動物を野生化させる原因だったのです。さらに調査を進めると、この花を使った薬物が意図的に肉食動物に投与されていたことが分かります。
記者会見での失言
捜査の過程で、ジュディは記者会見において「肉食動物は生物学的に凶暴になりやすい」という発言をしてしまいます。この発言により、ズートピア中で肉食動物に対する恐怖と差別が広がり、ニックとも決別してしまいます。
自分の偏見に気づいたジュディはズートピア警察を辞職し、故郷に戻ります。しかし、ナイトハウラーについての重要な手がかりを発見し、再びズートピアへ。ニックに謝罪し、和解した二人は協力して事件の捜査を再開します。
真犯人の正体
捜査の結果、真犯人が副市長のベルウェザー(ヒツジ)だったことが判明します。彼女は肉食動物を危険な存在として描き出し、草食動物中心の社会を作ろうとしていたのです。ジュディとニックはこの陰謀を暴き、ベルウェザーを逮捕します。
事件解決後、ジュディは記者会見で自らの偏見を認め、謝罪します。そして「誰でも何にでもなれる」というズートピアの理想を実現するには、互いの違いを認め、理解し合うことが大切だと語ります。
新たな出発
映画の最後では、ニックが警察学校を卒業し、ジュディのパートナーとして警察官になる姿が描かれます。かつて敵対していたウサギとキツネが、共に働く未来が実現したのです。
彼らの物語は、偏見を乗り越え、互いの違いを認め、協力することの大切さを教えています。
ズートピアの登場キャラクター紹介

主要キャラクター
ジュディ・ホップス
物語の主人公であるウサギの女性警官で、日本語吹き替えは上戸彩、英語版はジニファー・グッドウィンが担当しています。夢を諦めない強い意志と正義感を持ちますが、無意識のうちに偏見を持っていることにも気づかされます。自分の間違いを認め、成長していく姿が印象的です。身長は約70cm程度ですが、機敏な動きと頭の良さで困難を乗り越えます。
ニック・ワイルド
詐欺師として生きてきたキツネで、日本語吹き替えは藤森慎吾、英語版はジェイソン・ベイトマンが担当しています。皮肉屋で抜け目がない性格ですが、幼い頃の辛い経験から心を閉ざしていました。ジュディとの出会いを通して本来の優しさを取り戻し、最終的には警察官になります。
ボゴ署長
ズートピア警察署長のバッファローで、日本語吹き替えは森川智之、英語版はイドリス・エルバが担当しています。厳格で威厳がありますが、後には部下思いの一面も見せます。ジュディに対してはサイズを理由に最初は評価していませんでしたが、彼女の活躍を認めるようになります。
ベルウェザー副市長
ズートピアの副市長を務めるヒツジで、日本語吹き替えは竹内順子、英語版はジェニー・スレイトが担当しています。最初は小柄で優しい性格に見えましたが、実は「ナイトハウラー事件」の黒幕でした。肉食動物への恐怖を煽り、草食動物の世界を作ろうとする過激な思想の持ち主です。
サブキャラクター
クロウハウザー
警察署の受付担当のチーターで、日本語吹き替えはサバンナ・高橋茂雄、英語版はネイト・トランスが担当しています。陽気で明るい性格ですが、体重が重く運動は苦手です。ジュディを友好的に迎え入れる数少ないキャラクターの一人で、ガゼルの大ファンとしても描かれています。
フラッシュ
車両登録センターで働くナマケモノで、日本語吹き替えは村治学、英語版はレイモンド・パーシが担当しています。とてもゆっくりと話し、動きますが、違法なドラッグレースでは意外な一面を見せます。彼のゆっくりとした対応は、映画の中でも特に印象的なコメディシーンとなっています。
フィニック
ニックの相棒を務める小さなキツネで、日本語吹き替えは白熊寛嗣、英語版はトム・タイニー・リスターJrが担当しています。見た目はかわいいですが、実は凶暴な性格で、ニックの詐欺を手伝っています。低い声と不釣り合いな見た目のギャップが面白いキャラクターです。
地域別の作品表現の違い
「ズートピア」は世界中で公開されるにあたり、国や地域によって一部設定やキャラクターなどに変更が加えられています。タイトルも北米版では「Zootopia」、英国・欧州版では「Zootropolis」、日本版では「ズートピア」と異なります。
英語版では英語圏の観客向けに作られた言葉遊びやユーモアが多く含まれていますが、日本語版ではそれらを日本の文化や言葉に合わせて翻訳しています。例えば、英語版でのニックのセリフ「It’s called a hustle, sweetheart」は、日本語版では「そういうのを商売って言うんだよ、お嬢ちゃん」と意訳されています。
声優陣についても、日本語吹き替え版では上戸彩や藤森慎吾といった日本の観客に親しみやすい声優陣が起用されています。また、厚切りジェイソンなど日本で活躍する外国人タレントも一部キャラクターの声を担当し、日本の観客により馴染みやすい作品となっています。
作品に込められたメッセージと社会的意義

差別と偏見への問題提起
「ズートピア」の最大のテーマは、差別と偏見の問題です。肉食動物と草食動物という設定は、人種や民族、ジェンダーなど現実社会における様々な差別問題の比喩として機能しています。
特にアメリカ社会における人種差別問題を動物の世界に置き換えて表現している点が、この作品の深みを生み出しています。「ズートピア」という理想の都市でさえ、表面上は平和でも根深い差別意識が残っている現実は、私たちの社会を映し出す鏡となっています。
無意識の偏見に気づく重要性
作品の中で重要なのは、主人公のジュディ自身が無意識のうちに偏見を持っていたという点です。彼女は自分が「良い人間(動物)」だと思っていましたが、記者会見で「肉食動物は生物学的に野生に戻りやすい」と発言してしまいます。
この「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」への気づきは、観客にも自分自身の中にある偏見に向き合うきっかけを与えます。誰もが完璧ではなく、自分の偏見を認め、それを乗り越えようとする姿勢が大切だというメッセージが込められています。
「誰でも何にでもなれる」の真意
映画のキャッチフレーズ「Anyone can be anything(誰でも何にでもなれる)」は、理想と現実のギャップも描いています。ジュディは夢を諦めずに警察官になりましたが、社会の中での壁にぶつかります。
しかし最終的に、努力と他者との協力によって困難を乗り越え、本当の意味で「自分らしく生きる」ことの大切さを示しています。これは子供たちへの夢を持つことの大切さだけでなく、大人にとっても共感できるメッセージとなっています。
多様性を認め合う社会の重要性
「ズートピア」の世界では、大きさも種類も全く異なる動物たちが共存しています。それぞれの違いを認め、尊重し合うことで豊かな社会が築かれるというビジョンは、現代社会における多様性(ダイバーシティ)の重要性を象徴しています。
「私たちは複雑な生き物」というニックのセリフは、人間も含め、どんな生き物も一面だけで判断できないという真理を語っています。お互いの違いを認め合い、協力することで社会はより良くなるという希望が込められているのです。
子供から大人まで学べる教育的価値
「ズートピア」は子供向けアニメーションでありながら、大人も考えさせられる深いテーマを含んでいます。子供たちには夢を追いかける勇気や友情の大切さを、大人には社会問題への気づきや自己成長のメッセージを伝えています。
このような多層的なストーリーテリングは、家族で一緒に観て、それぞれの視点から話し合うきっかけを提供します。エンターテイメントとしての楽しさと、教育的な価値を両立させた秀逸な作品と言えるでしょう。
ズートピア2の最新情報

制作決定と公開予定
ディズニーが遂に「ズートピア2」の制作を正式発表し、ファンの期待が高まっています。米国での公開日は2025年11月26日、日本では2025年冬に公開予定とされています。監督は前作と同じくバイロン・ハワードとリッチ・ムーアが務め、声優陣もジニファー・グッドウィン、ジェイソン・ベイトマンなど主要キャストが続投する予定です。
続編ストーリーと新要素
現時点で公式に発表されている「ズートピア2」のあらすじによると、警察官となったニックとジュディが再びバディを組み、新たな事件に挑むことになります。指名手配犯のヘビ「ゲイリー」を探すため潜入捜査を行い、ズートピアの新たなエリア「爬虫類の世界」が舞台となるようです。「ズートピアでの暗い過去」にまつわる謎が物語の鍵となり、ジュディとニックの絆がこれまで以上に試される展開になるとされています。
新キャラクター「ゲイリー」
2025年は巳年であることにちなみ、新キャラクターとしてヘビの「ゲイリー」が登場することが明らかになっています。指名手配犯として描かれるこのキャラクターは、物語の重要な鍵を握ることになりそうです。
爬虫類のキャラクターが主要な役割を担うのは「ズートピア」シリーズでは初めてのことで、新たな社会的メッセージや物語展開が期待されています。ディズニーが公式発表したキャラクタービジュアルでは、神秘的な雰囲気を持ちながらも、どこか親しみやすさを感じさせるデザインとなっています。
「爬虫類の世界」の展開
続編では、前作では描かれなかった「爬虫類の世界」が新たな舞台として登場します。これにより、ズートピアの世界観がさらに広がることが期待されています。
爬虫類たちがどのようにズートピアの社会に溶け込んでいるのか、または溶け込めていないのかといった社会的なテーマも引き続き描かれると予想されています。環境設定も前作とは異なる雰囲気になると考えられ、ビジュアル面でも新鮮な驚きがあるでしょう。
新たなテーマとメッセージ
「ズートピアでの暗い過去」という要素から、続編ではより深刻なテーマも扱われる可能性があります。ニック・ワイルドの過去に関連していると思われるこの設定は、前作でも少し触れられていた彼の辛い過去がさらに詳しく描かれるかもしれません。
前作で問題提起された差別や偏見のテーマを更に発展させ、和解や癒しのプロセスにも焦点が当てられるのではないかと予想されています。「ズートピア2」は単なる続編ではなく、前作から一歩踏み込んだメッセージ性を持つ作品になりそうです。
日本オリジナル展開
日本では、すでに「ズートピア2」の日本オリジナルビジュアルが公開されています。ビジュアルには、警察官の制服を着たジュディとニックが描かれており、彼らの関係性がさらに深まることを予感させます。
日本市場向けには独自のマーケティング展開も予定されており、日本の文化に合わせたプロモーションが行われる見込みです。前作でも日本語吹き替え版には日本の有名タレントが多数起用されましたが、続編でも同様の豪華キャスティングが期待されています。
よくある質問

- ズートピアのあらすじを短く教えてください
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ウサギのジュディが初のウサギ警官として大都会ズートピアで奮闘する物語です。キツネのニックと共に肉食動物が凶暴化する謎に挑み、副市長ベルウェザーの陰謀を暴きます。表面上は平和に見える社会の中にある差別や偏見の問題が深く描かれています。夢を追いかける勇気や多様性を認め合うことの大切さを教えてくれる作品です。
- ズートピア2はいつ公開されますか?
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「ズートピア2」は米国では2025年11月26日、日本では2025年冬に公開予定です。2025年は巳年であることにちなみ、新キャラクターのヘビ「ゲイリー」が登場することが発表されています。前作から約9年ぶりの続編となり、ディズニーファンからは高い期待が寄せられています。監督は前作と同じバイロン・ハワード、リッチ・ムーアが担当します。
- 主要キャラクターはどのような動物ですか?
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「ズートピア」の主要キャラクターは、主人公のウサギ「ジュディ・ホップス」、詐欺師から警察官になるキツネの「ニック・ワイルド」、警察署長のバッファロー「ボゴ」、副市長で物語の黒幕となるヒツジの「ベルウェザー」です。その他にも、警察署の受付担当のチーター「クロウハウザー」、免許センターで働くナマケモノの「フラッシュ」、ニックの相棒の小さなキツネ「フィニック」など、個性豊かなキャラクターが登場します。続編では新たにヘビの「ゲイリー」が加わります。
- ズートピアが伝えたいメッセージは何ですか?
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「ズートピア」が伝えたい主なメッセージは、差別や偏見の問題への気づき、自分自身の無意識の偏見と向き合うことの大切さです。また、夢を諦めない勇気と努力の重要性や、多様性を認め合う社会の実現への願いも込められています。「誰でも何にでもなれる」という理想と、それを実現するための努力の大切さを教えてくれています。社会問題を動物の世界に置き換えることで、子供から大人まで幅広い層に分かりやすく伝えている点が特徴です。
- 日本語吹き替え版の声優は誰ですか?
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日本語吹き替え版の主な声優陣は、ジュディ・ホップス役が上戸彩、ニック・ワイルド役が藤森慎吾(オリエンタルラジオ)、ボゴ署長役が森川智之、クロウハウザー役がサバンナ・高橋茂雄、フィニック役が白熊寛嗣、フラッシュ役が村治学、ベルウェザー副市長役が竹内順子です。日本の観客に親しみやすい声優陣が起用されており、キャラクターの魅力を引き立てています。続編「ズートピア2」の日本語吹き替え版キャストについてはまだ正式発表がありません。
まとめ:ズートピアあらすじ

「ズートピア」は一見すると可愛らしい動物たちのアニメーション映画ですが、その本質は現代社会における差別や偏見という深刻な問題を、子供から大人まで理解しやすい形で描いた作品です。
主人公のジュディとニックが、お互いの偏見を乗り越えて友情を育み、社会の問題に立ち向かう姿は、私たち自身の日常にも重要なメッセージを投げかけています。「誰でも何にでもなれる」という理想と、それを実現するための現実的な課題の両方を描くバランスの良さが、この作品の魅力でしょう。
2025年冬に公開予定の「ズートピア2」では、警察官となったジュディとニックの新たな活躍と、ズートピアの世界がさらに広がることが期待されています。新キャラクターのヘビ「ゲイリー」や、新たな舞台「爬虫類の世界」など、続編ならではの新要素にも注目です。
「ズートピア」は単なるエンターテイメントを超え、社会的なメッセージを伝える優れた作品として、今後も多くの人々に愛され続けるでしょう。